Sparkle Sustainably

INTRODUCTION

INTERVIEW

EARTHRISE

表参道の小道にふと立ち寄ると訪れた人を異世界に案内してくれる宝石箱のような一件のジュエリーショップがあります。

INTRODUCTION

EARTHRISEさんは、エシカルにこだわった素材で作り上げるジュエリーが魅力的な、日本でも有数のエシカルジュエリーブランド。
「きらめく世界を、つむぐ。」をコンセプトに人と自然に優しいジュエリーの「きらめき」と、それを手に取った人が誰かを想う美しい心の「きらめき」を、時を超えてつむいでいく、真に美しいジュエリーをデザインされています。

EARTHRISEさんのジュエリーは、世界中から調達された、選りすぐりのエシカルな素材を使用し、イタリアの伝統的な技術を習得された日本人の職人さんならではの、緻密な手仕事によって、大切に作り上げられています。

■代表/ジュエリーデザイナー 小幡星子さん

代表兼ジュエリーデザイナーの小幡星子さんは、おばあさまからの形見の指輪を受け継いだ際、持ち主の人生の物語をも受け継いでいくことが出来る、ジュエリーの可能性に魅了されたそうです。 また、幼少期より抱き続けていた途上国支援への想いから、ジュエリーを取り巻く国際社会問題に関心を持ち、その使命感から、2011年、エシカルジュエリーを扱うブランド「EARTHRISE」をスタートさせました。

2016年には、パキスタンのスワート渓谷*1、ミンゴラに研磨工房を設立されました。 現地で採掘された原石は、研磨してはじめて、宝石としての価値を持ちます。しかし、当時は研磨の技術を持った職人が少なかったため、安い金額で取引せざる終えない状況であったと言います。

そこで小幡さんは、地元の人々が自ら働き、生活を向上させられる循環を作るため、研磨工房を立ち上げました。現在では、宝石研磨技術の無償指導を行いながら、女性の自立支援、奨学金による子どもの教育支援などを行っています。

■自然な桃色が美しい「ローズクォーツ」

そんなパキスタンで採掘され、現地初の、女性ママ研磨職人によって研磨されたのが、パキスタンのジュエリーコレクション、「アフロディーテ」の「ローズクォーツ」です。 一般的に流通している宝石は、95%以上が研磨以外に石の色を鮮やかにするための科学的な処理をしています。しかし、このローズクォーツは、それをあえてしなくとも、自然な桃色が優しく映える希少な宝石です。

その素材をいかした、優しいぷるんとしたカボションカットは、思わず触れたくなる水滴のように、きらきら艶やかなデザインとなっています。 また、ジュエリーの利益の一部は、現地NGOのSRI (Swat Relief Initiative)を通して、女性や子どもの支援に充てられています。SRI ホームページ

■こだわりのエシカルジュエリーコレクション

パキスタンのジュエリーコレクションに限らず、EARTHRISEさんで展開しているすべてのジュエリーに使用されている素材は、そのサプライチェーンにおいて、自然環境問題や児童労働、紛争鉱物の問題を一切抱えていません。フェアマインド認証*2を受けた、南米産のゴールド・シルバーもそのひとつです。

また、EARTHRISEさんでは、独自に「EARTHRISE基準」を設定し、エシカル素材の厳選を徹底しています。紛争の資金源となっているダイヤモンド原石の輸出入を規制する「キンバリー・プロセス証明制度」だけでは補うことの出来ない、自然環境への配慮や児童労働の禁止、トレーサビリティの確保など、ダイヤモンドからカラーストーンに至るまで、いくつもの基準を満たす宝石だけが、倫理的に取引されています。 キンバリー・プロセス ホームページ

そして、ジュエリーに欠かせない素材である真珠にも、エシカルなこだわりが詰まっています。真珠養殖は、言わずと知れた日本における代表的産業の一つですが、魚類養殖に使用されるホルマリンによるアコヤ貝大量斃死など、全国の養殖場では、自然環境汚染の問題を抱えています。

一方で、EARTHRISEさんが取り扱っているエシカルパールは、自然と生態系に配慮した取り組みを行っている、四国は愛媛県の養殖場で誕生したアコヤ真珠を使用して、仕立てられています。養殖場では、海の緑地化にも力を入れ、ワカメを植える活動も行っているそうです。

■世界に一つのエシカルジュエリー

EARTHRISEさんでは、鉱山における原石の採掘や研磨を含む、すべての流通過程において、人権や自然環境に配慮した、トレーサビリティの確保が徹底されており、それぞれのジュエリーの背景に、いくつものストーリーが詰まっています。

そのこだわりこそ、EARTHRISEさんのジュエリーが、優しさの中にも強さを感じる、唯一無二の輝きを放つ理由なのかもしれません。

株式会社EARTHRISE(EARTHRISE Co.Ltd)

店舗:150-0001 東京都渋谷区 神宮前 4-3-18

TEL:03-6804-3200 FAX:03-4333-7308

代表/ジュエリーデザイナー 小幡星子さん

EARTHRISE official website EARTHRISE official Instagram 小幡 星子 official Instagram

*1スワート渓谷
パキスタン北西部に位置し、雪をかぶった山々と緑豊かな景観から、地元では「パキスタンのスイス」と呼ばれている地域です。2008年頃から2012年頃まで、アフガニスタンから逃れてきたタリバンによって、占領されていた地域でもあります。 タリバンは、パキスタンのアフガン難民キャンプで育ったパシュトゥン人の学生たちによって結成された組織で、イスラム教に基づいた思想によって、祖国の秩序と治安を回復することを活動目的としています。 タリバンによる支配により、テレビやラジオの使用、女子児童の学校への通学等を禁止され、公開処刑が行われることも珍しいことではなくなってしまいました。 2017年、再びタリバンによって地元の小学校が破壊され、タリバンによる脅威が完全な終息を果たしていないことが顕著となりました。

*2フェアマインド認証
国際非営利組織ARM (Alliance for Responsible Mining)を通じて、公正な金属のみに付与される認証ラベルです。2004年に設立されたARMは、人権と自然環境に配慮した、小規模鉱山の持続的な開発促進と、責任のあるサプライチェーン構築をミッションに掲げています。公正なマーケットへのアクセスを可能にし、小規模鉱山労働者と地域コミュニティーへの支援を、持続可能な形で行っています。ARM ホームページ

参考文献資料

  • 株式会社EARTHRISE https://earthrise-j.com/ (2020/12/16参照)
  • Pakistan's Swat Valley: From terrorism to tourism https://www.aa.com.tr/en/asia-pacific/pakistans-swat-valley-from-terrorism-to-tourism/1469740 (2020/12/16参照)
  • Pakistan: Attacks on Schools Devastate Education  https://www.hrw.org/news/2017/03/27/pakistan-attacks-schools-devastate-education (2020/12/16参照)
  • Swat Relief Initiative https://swatreliefinitiative.org/ (2020/12/16参照)
  • Alliance for Responsible Mining https://www.responsiblemines.org/en/ (2020/12/16参照)
  • Kimberley Process https://www.kimberleyprocess.com/ (2020/12/16参照)
  • 進藤雄介(2008)「タリバンの復活」花伝社

EARTHRISE

INTERVIEW

これからのサスティナブルな地球社会実現のために、必要なことは何か。
代表兼ジュエリーデザイナーの小幡星子さんに、パキスタンでのご活動や、起業に至った経緯、サスティナブルな社会でのジュエリーの役割など、様々なお話を伺いました。

■日本でエシカルジュエリーが浸透しにくい理由は?

――EARTHRISEさんは、日本では先進的に、トレーサビリティにこだわったジュエリーを作り始めたと伺いました。日本でトレーサビリティにこだわるのが難しい要因は何ですか?

小幡さん:まず、要因の一歩手前のところで、日本のジュエリー業界では、トレーサビリティを取るという習慣ありません。極端な話をしてしまえば、ダイヤモンドはダイヤモンドであって、フェアトレードだからといって、成分が違うとかではないですよね。良いとか悪いとかではなく、価値観の問題だと思いますが、古いジュエリー業界の方々には、そういう頭があるので、わざわざトレーサビリティを取る必要性を感じていない。要するに、必要に迫られていないので発想がない。要因の一歩手前の話だと思っています。ただ、時代がSDGsとか言われるようになってきて、世界各国の投資家がお金を投資しようと思ったときに、その企業が環境保護に取り組んでいるかどうか、その辺を見ながら企業を選ぶようになってきているので、遅ればせながら日本の企業としても、今後、出てくるのではないか。トレーサビリティも取らざる終えないから、やる。という感じに、流れとしてはなっていくのではないでしょうか。

――感覚的に、他の国では進んでいるのですか?

小幡さん:そうですね、欧米の方が割と。フェアトレードとかエシカル、そもそもそういう考え方の発祥が向こうですよね。植民地時代に搾取してきたという背景もあったぶん、欧米の方が、良くしていこうという考え方や団体があったりする。一方で、日本というのは、割と性善説で生きている方が多くて、ジュエリーが作られていても、まさかその紛争に絡んでいるものであるという発想すらない。おそらく、良いものを正しく作っているんだろうなという認識があるのではないかなと。なので、消費者側が、トレーサビリティについて声を挙げて求めていく、そういったものでないと買わない。というような極端な考え方をする人たちがそもそも日本人に少ないのかなと思います。 企業側としては、消費者から言われて必要とされていない。必要を迫られていないので、トレーサビリティを取る必要がない。というのが、正直なところだろうなと思います。いわゆる大手になってくると、同じ色合いで、同じサイズで、均等なジュエリーを大量に作りますよね。決められた鉱山から採掘された宝石しか使えないとなると、量産に必要な宝石を揃えられないという、難しい部分もあると思っています。

■パキスタンへの尽きない探究心。一番の原動力は、人の想い。

――パキスタンの研磨工房を設立した後、その工房で働いている方々に、一定の技術支援を行った上で、ある程度の仕事はお任せして、あくまで対等なビジネス関係、というそのやり方がすごく良いなと思いました。しかし、そうすると、こちらの望むクオリティーで仕上がらなかったり、届いたときに「あれ?」みたいなこととか、そこのバランスはどうやって取っていらっしゃるのですか?

小幡さん:基本的には、現地の工房では私が代表取締役で、次に工房長、その下に研磨職人が何人かいるんですけれども、基本その工房長とは密にやりとりしています。ついこの間あったお話で言うと、石の厚さを3.5ミリで作ってと依頼したものがあったのですが、なぜか、3.05ミリで作ってきた。「え??!」って(笑)。きちんと文字に起こして、図面にもして、何度も送っているのに、毎回3.05ミリ。良くこんなにぴったり出来るなっていう(笑)。そういうことって何年経ってもありますね。なので、もう仕方がないので、その都度やりとりしています。宝石の世界だと、0.01ミリまでこだわらないといけないので、私もすごい細かく指示を出す。あとは、とにかく妥協しない。最初適当にすると、どんどん品質が悪くなってしまうので、細かい人間なんだよということを最初の内にすり込ませて、現地にいる間に徹底させます。それでも無駄になった石は、地元で売るなり、こちら側で何か別のものとして作るなりするしかないなと思ってやっています。

――パキスタンの採掘現場や研磨工房では、低賃金の問題があって、原石のままだと売るときに金額でしか取引が出来ない。だから研磨工房を作って、現地の人たちが自分で稼ぐという循環を作りたいという想いから工房を立ち上げたと伺いました。それ以外に、パキスタンでは、児童労働の問題や自然環境破壊の問題、紛争鉱物の問題などは、起こっているのですか?

小幡さん:まず、児童労働についてですが、私の知る限り、いろんなオーナーさんに伺った限りでは、0ですね。というのも、ちょっと特殊かもしれないのですが、他の業種では児童労働は結構あるんです。やっぱり鉱山の仕事というのは過酷と言いますか、力仕事が必要だったりするので、パキスタンでは子どもに働かせるなんてとんでもないという考え方を持っています。

――なるほど。

小幡さん:次に、環境破壊なんですけれども、パキスタンに限って言えば、いろんな採掘場所があるのですが、元々木も生えていないところを採掘していることが多かったりする。標高4000メートルとか5000メートルとかで採掘してる場所も結構あるんです。そうすると、草なんてほとんど生えていなかったりするところをダイナマイトで爆破して掘り進んでいくので、例えば、土砂が川に流れこんでるかと言われたら、そういうわけではないですし、環境破壊しているという印象は受けていないです。

――そうなんですね。

小幡さん:それから、紛争に関わることで言うと、私が研磨工房を立ち上げたエリア、スワート渓谷というのが、2008年頃から、当時のタリバンによって占領されました。そのとき、地元にあったエメラルド鉱山が紛争の資金源になっていました。タリバン兵が、この鉱山をおさえて、地元の人たちを働かせる。働く人たちの身分証を全部取り上げて、働かせて、エメラルドが採れたら、そのエメラルドを売りに行き、そのお金を元に武器や爆弾買ったりしていました。賃金はほとんど払われていなかったようです。それが何年か行われていました。 今でも、アフガニスタン側のエリアでタリバンが支配しているようなところで採れる石は、紛争の資金源として、現に今も取引されています。

――スワートでは、2012年にタリバンの支配が終わりましたが、2017年に再び小学校が爆破される事件が起きました。今もまだ、その脅威は残っていますか?

小幡さん:去年行ったときには、ずいぶん落ち着いていましたね。裏でパキスタンの軍が動いたのかもしれません。タリバンと呼ばれる人たちや、タリバンをサポートしている支援者たちの姿も見なかったですし、その理由を地元の人たちに聞いても、分からないけど最近見かけなくなったよねっていう。ただ山岳地帯、いわゆる街ではなくて、ちょっと奥に行ったところでは、一部ではいるのかもしれないですが、人前に出てこなくなったといいますか。

――スワート渓谷は、とてもきれいな渓谷で、かつては、観光目的で世界中から人が訪れていたそうですね。しかし、2020年12月現在で、日本の外務省渡航安全情報によると、レベル4となっており、気軽に行ける場所ではなくなってしましました。小幡さんは、パキスタンに行かれるときは、お一人ですか?

小幡さん:はい、一人で行っています。普通の方は絶対だめですよ(笑)。

――(笑)。環境的な部分でも日本と全然違いますし、体調を崩していらっしゃる報告もブログで拝見させていただいたのですが、それでも尽きない探究心やパキスタンに対する想い、魅力は何でしょうか?

小幡さん:結局は、「人」なんだろうなと思いました。そこで働いている人たち、出会う人たち。もちろん、石が好きというのもありますけれど、一生懸命生きようとしている人たちがいて、別に自分が何か出来るから助けてあげようとか上からの話ではなく。向こうに行ったら、助けられていることも多いので、お互いシェアし合っているんだろうなと思います。一番の原動力は人の想いなんだろうなと。元々私が、日本人の中でもそんなに強い体ではないんです。どちらかというとぬくぬくしている方が合うというか、変な言い方ですけれど(笑)。そうじゃないと割と体調を崩しやすかったりもするので、途上国なんて死ぬんじゃないかと思った位なんですけれど(笑)。一生懸命頑張っている人がいたら、一生懸命私も何かしたいなと思いますね。

■人生を、自分の手で切り開いていく。

――エシカルジュエリーを切り口に、国際協力をするという仕事は、起業以外にもいくつか選択肢はあります。NGOに入って仕事をしたり、民間のジュエリー会社に入ってエシカルジュエリーの展開をしたり。その中で、自らが起業して、ソーシャルビジネスを起こしたいと思った理由は何でしょうか?

小幡さん:起業というのは、小さい頃からずっとありました。というのも、私は、母親が22歳の時の子どもで、当時母親は若かったので、「しっかり子どもを育てなきゃ」という責任感。私の下に弟が3人いて、4人兄弟の大家族というんですかね。賑やかに育っていて。母親が、いざ子どもが小学校に入って、社会に復帰したい、お仕事したいと思ったときに、子どもを抱えていると、雇ってくれるところが全然なかったんですね。特別なスキルがあるわけでもなく、学校出てちょっと働いてすぐ結婚、出産という感じだったので、女性が働ける社会じゃないことにすごい衝撃を受けて。そのことを、私が小さいときから、「あなたが社会に出る時になっても、残念だけど、日本の社会はそんなに変わっていないと思うから、自分の手で切り開いていける生き方を探しなさい。」というようなことをずっと言われていました。半ば愚痴だったらしいのですが(笑)。そういう面で苦労しない生き方をしなさいよと言われていて、いつかは自分も手に職付けて独立したいなという想いはずっとあったんです。それをずっと探していたという感じですね。

――その道が、エシカルジュエリーだった。

小幡さん:そうですね。

――起業をされた当時、エシカルジュエリーという言葉や概念は、日本ではあまり広まっていなかったのですか?

小幡さん:日本では全然広まっていなかったですね。当時、海外のニュースなどもチェックして、業界のことも調べていたら、イギリスを初めとした欧米から、エシカルジュエリーという概念についての情報がたくさん出てきました。フェアトレードとか、そういう考え方があるんだなって。そこで情報に触れましたね。

■サスティナブルな社会実現に向けて・・・

――これから、サスティナブルな活動、生産者も消費者も関わる人すべてが、win-winな関係にある商品や活動が、重要な役割を持つ世の中になっていくと思います。そのような社会を実現するためには、今、何が一番必要だと思っていらっしゃいますか?

小幡さん:シンプルに考えてしまえば、大量生産大量消費をやめれば良いんじゃないかと思います。昔の日本人は、まあ日本人に限らずだと思うのですが、一度作ったものや買ったものを大事に直しながら使っていましたよね。100円ショップってすごく便利だし、私も利用しますけれど、ついつい無駄のものを買ってしまったり、あとは、過剰包装であったりとか。手軽に買えるからこそ、手軽に捨ててしまい、ゴミも出る。要するに、ものに溢れた生き方というよりかは、ちょっと高くてもちゃんとしたものを買って、それを長く使う。生き方を見直すことが大切なのではないでしょうか。そうすると、経済が回らないという意見もあると思うのですが、バランスを見つつ、やっていける方法を一人一人が考えないと、社会は変わらないだろうなと。世の中、便利になったら良いなと思って、突き進んできましたが、それが今ちょうど、ポキッと折れ始めた時代ですよね。ものに溢れ、情報もすぐ手に入る。そこで、もっとシンプルな生き方や考え方に変わっている人たちが、多い印象を受けます。

――今の時代の流れとして、その方向に向かっている最中ということですが、サスティナブルな社会における、ジュエリーの役割は何だと思われますか?

小幡さん:例えば、お母様がもっていた指輪をリメイクして自分の指輪にしたりとか、ネックレスにしたりとか、ジュエリーは、時代と共に形を変えることができます。例えば、サスティナブルな、フェアトレードであり、エシカルな素材で作ったジュエリーを、長屋さんがご購入されたとしますよね。

――はい。

小幡さん:その後、長屋さんが付けていたジュエリーをお子さんに譲られたり、そのお子さんがまた大きくなって、結婚されて、子どもが出来て、代々受け継いでいく。一人の人生の物語をのせたジュエリー。その人の想いとか思い出、思い入れが、形として何百年も生き続けられるのがジュエリーです。元々、ジュエリーの素材は、地球が誕生する前から、宇宙で漂っていた物質もあれば、地球誕生と共に出来た物質もあったり、億数万年で出来たような石もあったりします。その年月がすごく長い分、その素材が劣化することや、割れたりということがあっても、それをずっと持ち続けていくことが出来る。長屋さんのお孫さんやひ孫さんが、「ひいおばあちゃんはこんな人だったらしいよ。」「この石が、ひいおばあちゃんの誕生石なんだよ。」とか、そういうお話って受け継いでいけるものだったりしますよね。あくまでジュエリーは、その人をつなぐためのツールであり、想いを反映する象徴であると思っています。

手に取ったジュエリーが、どのようなルートを辿ってきたのか。そのプロセスを意識することは、結果として、生産者の抱える問題を認識し、解決へ導く第一歩となります。

EARTHRISEさんのジュエリーには、生産者の方々のストーリーも付加されています。 受け継いでいく人たちだけでなく、携わったすべての人の想いをのせた、特別なジュエリー。

潜在的な、真の美しさを放つジュエリーには、人が人を想い合う、優しい背景がありました。

小幡星子さん

東京都出身 1981年12月生まれ

株式会社EARTHRISE 代表/ジュエリーデザイナー

2011年エシカルジュエリーブランドEARTHRISEを設立。

世界各国からのエシカル素材開拓や、
ジュエリーデザイン、制作まで、幅広く手がけている。

2016年、パキスタンに宝石研磨工場を立ち上げ、
無償での技術指導や女性の自立支援を行っている。

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